ブラック企業の多い、少ないは業種によっても偏りがあるというのは一般的に認知されているかと思います。そのなかでもアパレル業界にブラックな印象を抱いている方は多いのではないでしょうか。

もちろんアパレル業界だからといって全ての企業がブラックという訳ではないのですが、アパレル業界が業界の特徴として「ブラック企業を生みやすい」のも事実です。今回はアパレル業界にブラック企業が多い7つのポイントを紹介します。

勤務時間が不規則

シフト制のアパレル販売員がほとんだとは思いますが、【早番】【中番】【遅番】と日によって勤務形態が違うことです。

早番で朝から出勤夕方頃に退社の日もあればお昼から出勤でクローズまで、そして明日の品出し価格売変など。日によって勤務形態も違えばする作業も異なってくるため特に働き始めの頃は体がその生活に慣れるまで時間がかかります。

遅番の場合は夜ご飯を食べるのですら12時近くになることもしばしばです。次の日早番の場合、睡眠時間は自ずと短くなります。休まらない体でまた朝から出勤となてしまいます。

早番の場合でも終わる時間帯は早いですがオープンミスをしてはいけないプレッシャーがあります。事故なんてことになれば確実にアウトです。

アパレル業界は人の出入りの障壁が低い

まず、アパレル業界がブラック化しやすい理由の一つめは、この業界は高いスキルが必要ではなく、就職が容易なことがあげられます。もちろん店の売り上げを高めるには独自のスキルが必要で、あることは確かなのですが、それでも例えば「医者になれる人」や、「超大手企業に就職できる人」より、「店長をしっかりこなせる人」は多いと思われているし、おそらく実際に多いということです。

また、お店側は社員全員に「お店の売り上げを倍にする」稀有な能力を求めているのではなく、普通にお店を運営できることを求めているだけです。そもそも物凄く高いスキルが要求されるわけでもないし、さらにそのなかでも企業が平凡なスキルで充分と思っている、少なくとも産業内の一定数の企業がそのようなマインドで人を雇っています。

言うまでもないことですが、厚待遇は「できることが限られている仕事」ほど社員の声が強くなり、実現しやすくなり、またその逆もしかりです。

アパレル業界は、比較的誰でもなれる、だけど待遇は悪い仕事にならざるを得ないのです。もちろん全てのアパレル系企業に言えることではありませんが、それでも他業種と比較して「やる気さえあれば誰でもいい、でも給与は安い」条件で人を雇う傾向は強いです。

アパレル業界に入りたい人が多い

アパレル業界でブラック企業が生まれやすい要因の多くは「待遇が悪い」ところに起因しているように思えます。物凄く高給のアパレル関連の仕事はごく限られておりますので、低賃金な企業がおおく、それがブラック企業との認識を持たれていると言えます。

さて、待遇が悪いというのは端的に低賃金であることが主因ですが、アパレル業界は概して賃金が低い業種といえるでしょう。その原因は一つは前章にあるような、求められるスキルの低さによるものですが、それだけではありません。

皆様の回りにも「アパレルショップの店員として働きたい」と言っている人、結構いるんじゃないでしょうか。おしゃれで華やかなイメージのあるアパレル業界はおしゃれな若者たちには魅力的に見える仕事なのでしょう。あまりにもなりたい人、そして(低スキルのため)なろうと思えばなれる人が多いことが、このアパレル業界の給与を下げている要因と言えます。

なりたい人が多ければ、その中の一部は「多少給与が安くても、やりたい仕事だから我慢する」となりますよね。ある程度の人ならば、企業側は人数さえ揃えれば問題ないわけですから、可能な限り安い賃金でも働いてくれる人から雇うことになります。人が集まるギリギリの低賃金で募集をかけるようになるのです。そして、これを業界内の各社がやってしまうことで、いつしか「アパレルは低賃金な企業が多い」となるわけです。そのなかでも特に賃金の低い企業がブラック企業と呼ばれるわけですね。

労働時間が長い、休みも不規則

アパレル業界は一般的な企業より労働時間が長い傾向にあり、また休日のとりかたも不規則という特徴があります。もちろん企業にもよりますが、お店は10時から21時くらいやっていて、さらにその前後に準備や片付けなどが必要になりますので、少なくとも14時間程度は何らかの作業が発生する時間があります。

これを分担できればいいのですが、最低限の賃金を維持しながら、労働量を分担して一人当たりの負担を適正に減らす、そこまでの余裕がない企業はたくさんあります。特に安価な衣服を販売している企業は、おのずと利益率も下がりますので、多くを雇って人件費を下げるのが難しくなってきます。従って結局長い営業時間を維持するために、社員は長時間労働を強いられることとなります。

また、休みが不規則になり、しばしば十分な休暇が取れない職場が散見されるのも問題です。近年のアパレルショップはほぼ年中無休となっているお店が多いです。

むしろ、ほかの人が安める土日や祝日、年末年始ほど稼ぎ時のため、むしろ重労働に耐えなければならないというお店が多いです。もちろんその休みを規則的に平日にとれるのならば問題はないのですが、現実的には、休みは不規則で少ないという傾向が見られます。

とくに正社員のショップ店員の場合はバイトが急に休んだ場合などにピンチヒッターに呼ばれるなどの例も見られ、近年は大手企業では当たり前になってきている「週休二日制」がなかなか維持されていない状況となっております。労働基準法上は確かに週一日休みがあればセーフではあるのですが、上記の通り激務なアパレル業界ですから、週一日の休みでは過労者が出てくるリスクが相応に高いように見えます。

なぜこのような長時間労働になるのかというと、アパレル業界は「お客様相手」の職業だからです。とにかく売ってなんぼの職業ですので店頭に出ている時間はお客様主体になってしまいます。

顧客様が来れば顧客様の対応。今から休憩なのになぁ。とは言ってられません。あとでまとめて休憩をとろう!なんて日も多くなってきます。販売プラスで商品管理、レジ金管理、企画書、館に提出するものの作成、電話対応、クレーム対応。その日に処理しなければならないものが多く休憩時間も後回しにすることが多いことが事実です。

それに付け加えて意外と体育会系です。毎朝何パッキンもの商品が入荷し検品。冬物のコートになると段ボール自体が非常に重く大汗かきながらの作業になります。

セールの時期になれば入荷商品は普通の時期に比べ2~4倍の量になってきます。ストックに綺麗に見やすく入れるのも仕事ですので狭いストックで思い段ボールを運び高い棚に入れるといった作業も待っています。

自社で棚卸を行うところはもっと大変で一つ一つタグ読み取りなんてこともしないといけません。いつ終わるのだろうこの力作業・・・。と途方に暮れながら一つ一つの作業を確実に終わらせなければなりません。

休みの日にくる連絡

バイトや役職が特にない販売員はそこまで頻繁な連絡はありませんが、店長や店の責任者は休みの日でも何振りかまわず連絡がきます。

本社やショップリーダー、お客様からなどなど常にケータイを持っておかなければなりません。新人の子がクレーム対応で困ってるので連絡が来ることもしばしばです。

挙句の果てには出勤し対応。休みの日も心も体も休まらないです。最近ではLINEなどのSNSの普及により簡単にスピーディに連絡が取れますが緊急を要する場合はお客様を待たせることはできない為しつこく店舗から電話がなります。

責任者が休みの日にその責任者しか分からない本社からの連絡の場合にも速攻で連絡がきます。本社からすれば、「今日○○さん休みなの?今日までに知りたいから代わりにわかる人いる?もしくは連絡とってよ」と責任者が休みなんて関係ないものです。

もちろんお客様からしてもです。「○○さんから買いたい。今日しか休みないし○○さんに見てもらいたい!」と気に入ってもらえれば言われることも多いです。

有り難いですが、商品が売れるなら・・・。と思って休みの日でもお店にいることも多いです。

商品の差別化が実は難しく、原価が安い

最後は意外な点かもしれませんが、アパレルショップは各店工夫を凝らして個性的な衣服を販売しています。一見よく差別化が効いているように見えるのですが、実は差別化が難しい業界です。確かにいろいろなコンセプトのショップがあるのですが、一方で、一人の人がいろいろな店で服を購入するのが普通で、差別化に見えて実は「区別」にしかなっていないのです。

差別化とは本来価格を釣り上げて利益率を維持しても、その差別が「強み」となってビジネスを維持できる状況のことを言うと思うのですが、アパレル業界はこれが働いていない企業が一定以上いるのです。むしろ「工夫を凝らすのはアパレル業界で生き残る最低条件」のようになってきています。

従って店の工夫が「利益率の上昇」につながらず、結局は「その店相応のお得に感じる価格」で商品を販売しなければなりません。それはつまり、「コストを下げる」しかない、結局はそこに行きついてしまいます。

さて、一部のブランド商品を除くと、アパレルの商品の原価は、新興国の向上なども活用することで非常に安くなっています。これが何を意味するかというと「商品はコストを下げる余地があまりない」ということです。商品自体にコストを下げる余地がなければ何を下げるか、お店自体は工夫を凝らさなければ戦えません。

それならば下げるコストは「人件費」しかありません。こうした構造により、アパレル業界は人件費に下方圧力がかかる業界と言えます。従って、社員の待遇はどうしてもよくなりにくいということになるのです。

 

妊娠、子育て中、結婚への融通

最近では減ってきていますがまだまだ課題が多い問題です。特に妊娠中の勤務は限られてきます。店舗によっては少人数しか販売員を置けない店舗も多くあるためベテランが妊娠となると負担が大きくなります。

上記の不規則な勤務形態や長時間拘束なども重なると負担はさらに大きくなります。アパレル業界は常に人が不足状態なので結婚となると、「あぁ、○○さんは結婚するからいづれ妊娠でしょうね」なんて上から言われることも多いです。

新店舗でこの状態になればもっと大変で周りのスタッフへの配慮も必要となってきます。女性社員やバイトが多いアパレル業界なのでそこら辺の福利厚生はしっかりしていることが多いですが、やはり身体的負担、精神的負担はほかの職業と比べて大きいはずです。

立ち仕事でヒールを履かないといけない場合もありますし、妊娠をまだ公表できない場合は特に負担がのしかかります。

お客様にも「妊娠しているのでお手柔らかに」なんて言えません。着る服も限られてきますし、「歩くマネキン」なので妊婦でもおしゃれを意識しなければならないのです。

また結婚して旦那さんが転勤になったので他店舗へ移動したいです。となればそこの店舗のスタッフをまた他店舗から移動させるもしくは、入社させるなど常にギリギリの状態でスタッフをまわしている店舗は危機的状況になります。

子育て中のスタッフも復帰し、よし!働こう!となっても子どもが熱なので呼び出されることも多くあります。

お客様相手で、待てがきかない職種なためすぐに抜け出せません。他のスタッフにも迷惑をかけてしまいます。子どもを連れてくるわけにもいきません。女性ならではの問題があるのもアパレル業界がブラックと言われる理由です。

まとめ

 

アパレル業界には不思議なほどに「ブラック企業が多い」印象が一般的にあります。それはここで挙げたように、スキルが高くない・高いスキルを要求されていないことなどを背景に、長時間労働や低賃金が横行しているから、また働きづらい環境であることがブラック企業と言われる要因になります。

勿論すべての企業がそうではなく、社員のことを大事にし、厚遇の企業も中にはあります。しかし、産業の構造上、どうしても人件費を下げて、お店の「ブランド力」を守るという経営戦略をとらざるを得ない業界であることはたしかです。一企業の努力ではどうにもならない産業の特徴がネックとなっている点が、アパレル業界のブラック企業の問題点だと言えます。