ブラック企業が多い傾向にある特徴はいくつかあります。業種であったり、企業の規模により「こういったタイプの企業にはブラック企業が多い」というイメージは誰しも持っているでしょう。そのようなブラック企業が多いイメージのポイントの一つに「ベンチャー企業」をあげる方も多いでしょう。

ただ一方で、ベンチャー企業にも社員を大事にするホワイト企業も多数あります。今回はブラックなベンチャー企業によくみられる特徴について説明します。ベンチャー企業のすべてがブラックというわけではなくとも、下記に当てはまるベンチャー企業には少し注意した方がいいでしょう。

やたらと「やりがい」を主張する

そもそもやりがいをことさらに主張する企業はブラック企業であるリスクが高いのですが、ベンチャー企業では特にこの「やりがいアピール型」のブラック企業が多いです。ベンチャー企業のブラック性が培われてしまう要因の一つに「ベンチャーを立ち上げた創始者のパワフルさが、悪い形で残ってしまっている」ことが多くあります。

ベンチャー企業の創始者は誰しも「やりがい」を糧にしながら、かなりの重労働をくぐり抜けて今に至っています。
創始者がやりがいに満ち溢れて無理して頑張っていたんだから、社員もみんな同じぐらい「やりがい」を感じて無理して下さい、そういう姿勢が根底にあるのが、この「やりがいをことさらに主張する」ブラックなベンチャー企業のタイプです。

ベンチャー企業というのは一定程度起業精神が原動力となっておりますので、「やりがい」について訴求してくるのは仕方がない部分はあります。しかし、本業の魅力もわからないし、待遇も良くない、貴方に無理を課してきてもそれらをすべて「やりがいがあるから」で片づけて実のないやりがいばかりを主張してくるような企業はブラック企業の可能性が高いです。

こうした企業は社員にも創始者と同じレベルの頑張りを要求します。「おれも頑張ったんだからお前も頑張れ」という一見正しいようなロジックにおかされているのです。

これは主に二つのポイントから正しくはありません。まず創始者は自ら望んで勝手にその重労働を受け入れている一方、労働者は基本的に選択の余地がなく「頑張るしかない状況」に置かれており、立場が全く違います。そしてそれよりも重要なのは、創始者は社長か役員なので、巨額の報酬が得られるチャンスがある立場ですが、基本的に労働者にはそこまでの見返りが得られるチャンスがありません。

このように、労働者に権利は与えずに重い義務だけを課しているのが、この「やりがい主張型ベンチャー」の特徴で、権利と義務がマッチしていないのですから労働環境は当然良いとはいえませんし、労働者を大切にしていないのも明らかですね。従ってこうしたタイプのベンチャー企業にはブラック企業が多いです。

ここでポイントなのが、たとえやりがいが主張されているのだとしても、成果を出せばしっかり報酬が得られる、残業代がしっかりつく、事業の社会貢献性や重要性が高く、今後会社のステータス工場が期待できる、などしっかりやりがいを裏付けるものがあるかどうかが重要になります。

そうしたものが特にないのに、「やりがいがあるから待遇が悪くても、また事業が成長しなくても我慢するしかない」というのは論理が逆転している状態です。

しかし、怪しいベンチャー企業ではこのような「やりがい」を根拠もなく訴求する怪しい企業は意外なほど多いです。

もしあなたがやりがいに惹かれて挑戦しようとしている企業、実際に今働いている企業があるのだとすれば、その「やりがい」は実を伴っているものかどうか改めて考えてみるといいでしょう。ひょっとすると、「やりがい」の名目のもとに体よく搾取されているだけとなる危険性もありますから。

 

成果給を理由に残業代が確り出ない、成果と報酬のバランスが適切でない

成果に基づく給与を支払うと主張している企業は本当に多く、これ自体は別にただちに「ブラックである」ことを決定づけるものではありませんが、その「成果給制度」が正しく・適切に設定されているかどうかは注意深く考える必要があります。

まず、一番気を付けなければならないのは、「成果給」を理由に残業代が確り払われていない、「成果が出てない時間帯の残業は業務でないから残業代は出ない」かのような扱いを受けている企業は即ブラック企業です。

文字に起こすと明らかに不条理なのですが、意外なほどにこうした企業は多いです。成果に基づく給与が出れば残業代は不要、というのはごく限られた業界、年収水準にのみ認められつつあるものですが、太宗のサラリーマンは残業代を受け取るのが当然で、それを是とした基本給になっておりますので、成果給が出るから残業代がでない、となっているような企業があればそれはブラック企業です。

また、成果が出れば出るほど報酬が高くなると標榜している企業にも注意が必要です。それは、成果と報酬のバランスが本当に取れているのかどうかという点です。

極端な話、「営業成果が1位だったもののみに賞与を払う」としても見た目上は成果給と言えないこともありません。

現状日本において「成果給とは、どれくらいの収益貢献や会社貢献に対してどれくらいの報酬を支払わなければならない」ということを定める法律はないので、実際にはごく一部の優秀者にしか+αの報酬が支払われない、という状況は容易に起きえます。

そしてそれ事態は法令違反でも何でもないので、ふたを開けてみると「単なる薄給」だったなんてことはよくあることです。

これをどのレベルからブラックとするか、は人それぞれの価値観によって来るところもあるので難しいですが、成果給のシステムについてはしっかり確認してから入社することが望ましいでしょう。

どれくらいの収益貢献でどの程度のボーナスがあるのか、それはどのくらいの社員が達成するものなのか、結局平均年収とするといくらなのか、こうしたポイントを可能な限り確認した方が望ましいでしょう。

もし確認できないというのならば、結局変な成果給には騙されずに、基本給の高さや残業代の水準などで企業を判断する方が賢明です。こうした点を明らかにしない企業はすでに怪しいという感覚を持ちましょう。

みなし残業制度を導入している

みなし残業制度はしばしばブラック的な運用がされがちな制度である一方、この制度自体は法律に則ったもので、実は大企業でも結構採用されています。

本来みなし残業制度自体はルール違反でも何でもないですが、長時間労働の温床となってしまっているのがこの制度の特徴です。とくに「ベンチャー企業」でこの制度を利用している企業は注意が必要です。

ベンチャー企業は基本的に少人数のチームで仕事を回しているのが一般的です。多人数になってくるのであればそれはもう真のベンチャーではありませんから。すると、大抵の職場において「帰りにくい」雰囲気が醸成される、少人数で多数の仕事を回さなければならない、といった特性から残業時間はどうしても長めになりがちです。

そもそも残業時間が多いこと自体が問題なのですが、これはベンチャーである以上多少はしかなたないでしょう。しかし、これに「みなし残業制度」を採用している企業はかなり危険です。

みなし残業制度は本来月給に一定程度の残業時間を加味した給料を払い、さらに「みなし残業時間を超えた分も残業代を支払わなければならない」ルールなのですが、現実にはこの後者が守られていない企業が非常に多く見られます。つまり、残業代は実質的に「あらかじめ決められた時間分」しか払われず、超過時間は全てサービス残業になるということになります。

 

ただでさえ長時間労働になりがちな要素を持っているベンチャー企業がこのみなし残業制を採用している場合は、企業が認識しているかしていないかは別にして、多くのサービス残業が発生している恐れがあります。そんな企業はまさにブラック企業と言えるかと思いますので、みなし残業制を採用しているベンチャー企業はブラック企業の可能性が高いといえます。

業務外のイベントが異常に多い

ベンチャー企業の場合よくあるのは、「オフサイトミーティング」など名前は様々ですが、業務とは関係ない時間帯や休日に社員同士が交流を深めるようなイベントが開催されることがしばしばあります。

人的リソースが潤沢とは言えないのが一般的なベンチャー企業の場合、社員の一体性というのはある程度重要なポイントではあります。そうした一体感を高めるために、こうしたイベントが開かれること自体は必ずしも問題があるというわけではありません。

しかし、あまりにもこうしたイベントが多いベンチャー企業は注意が必要です。こうしたイベントのほとんどは、社長やある程度のランクの方が組織の下部の社員に声をかけることで企画され、準備され、運営されます。そもそもイベントが多すぎるということは、それだけ下部の社員はこのイベント準備に時間がとられるということになります。賃金が発生するならまだいいですが、これが業務時間外ということでボランティア状態で手伝わなければならないとすれば最悪ですね。その状況が発生している企業がブラック企業であることにはまず異論がないでしょう。

また、例え準備時間に賃金が発生しているとしても注意が必要です。こうしたイベントがたくさん開かれるということは、それだけトップや上司の命令力が強いということが考えられます。勿論若手社員が「完全に自主的に、楽しんで」企画しているのであればいいのですが、大抵はそんなことないですし、知らず知らずのうちに本当は乗り気でない人まで実質的に参加を強制している状況なっていることはしばしば起こりえます。上司やトップの命令権が強すぎるというのは、パワハラが多い恐れがありますので、やはり注意が必要でしょう。

自分の勤める会社がイベントを敢行する以上、意識的か無意識的かにかかわらず一定程度参加や準備する義務が発生するものですから、こうしたイベントが多すぎるベンチャーというのは知らず知らずのうちにブラック的になっている企業が多いと考えられます。

成果主義を標榜し、やたらとアップサイドの待遇だけをアピールする

これはベンチャーに限らずブラック企業に多く見られる解くようですが、「成果に応じて高収入が期待できる」と標榜するベンチャーは注意が必要です。まず成果主義だから「残業代は出さなくていいし基本給は成果が出ない人は安くしてよい」と勘違いしているのか、確信犯的に行っているのか不明ですが、そのようなマインドになってしまっているベンチャー企業である可能性が高いです。

基本給はアピールしにくいから、山の最高峰の待遇だけアピールするのでしょうが、大抵の場合、その講習にありつける人は社内の数%にも満たない一部の人に限られ、それ以外の人は「成果を出していない」と無理やり理由づけられ、低賃金で働くことになります。これがブラック企業であることは言うまでもありませんね。

高収入であることをアピールするならば、正直に基本給を書けばいいだけです。それができないのには、何か理由がある、つまり皆が手にする基本給は低いんだろうと考えたほうがいいでしょう。

 

まとめ

 

ベンチャー企業にも素晴らしい企業はたくさんあるはずですが、上記のようないくつかのポイントに当てはまるブラックなベンチャー企業が多いのもまた事実です。

ブラックな企業は「(成果をものすごく出せば)高収入」とか「やりがい」とか「社員同志交流が多くフレンドリー」とかさまざまなポイントで人々を誘い入れますが、いずれもブラック企業に見られる危険なポイントですので、これから就職しようという方は、注意して問題のないベンチャー企業を見極めましょう。