視覚障害を抱えながら奮闘する日々

私は約12年間、老人介護施設のデイサービスにてマッサージ師として勤務していました。

パートタイム勤務で、時間は朝の9時から夕方4時30分までの7時間半、つまりご利用者さんが通所してこられてから帰るまでの時間をマッサージ業務をするといった形です。

お客様と対話をしながらのマッサージ業務は大変楽しく、また高齢者のお客様から戦時中のお話や長い人生の中で体験された貴重なお話などをうかがいながらの仕事で、マッサージの業務に関しては大変楽しい時間を過ごすことができていました。

しかし介護福祉の業界はスタッフの入れ替わりも激しく、特に最後の3年ほどはスタッフとの意思疎通や申し送りの不十分さと、それに伴うお客様への配慮が行き届かなくなり始めました。

私自身、現場をよく知りもしない上層部に呼び出され心当たりのないことで注意を受けるといったことが日増しに増えていきました。

具体的には、「言葉遣いが悪い」、「あなたはお客様をえり好みしている」、「女性ばかりの職場なんだから我慢して働いてください」など。

自分に与えられた仕事に関して当たり前のことを当たり前にしているだけなのに、どうして理不尽な注意を受けなければならないのだろうかと悩みました。

しかし生活のために働かなくてはいけないので、ごまかしごまかし働いてきたのですが、2014年におじが、その後を追うように2015年に母が。更に2017念、私の育ての親と言っても過言ではない祖母が立て続けに亡くなりました。

肉親が立て続けに逝去したことと、祖母も含めた家族と同居だった住まいを出なくてはならないという事情、更にはうまくいかない仕事といろいろなことが重なり軽度の鬱病を発生してしまい、限界を感じて2017年6月ごろ、上司に「この仕事を辞めたい」ということをつげ、転職に向けて動き始めました。

話は少しさかのぼり、2017年2月ごろになります。私は視覚に障害があります。

37年間、それまで福祉サービスというものを何一つ利用したことがなく、また制度が整う前に市役所に相談に行ったところ門前払いをされるといった経験があり、ヘルパーを利用して生活していくということにどことなく抵抗を感じていました。

しかし2017年に入って、家族の中で中心人物だった祖母が倒れ、もう長くないといった話が出たときに、本当の意味での自立をしてこれから生きていかなくてはならない現実を突きつけられました。そこで思い切って市役所に電話をし、自宅から比較的近い事業所を紹介していただき、とある相談支援員の方と知り合いました。

 

最初の顔合わせで今までのこと、これからのこと、生活のこと、仕事のことなどさまざまなことを含め悩みや考えを全て聞いていただいたのですが、特に私の趣味と仕事の話に興味を持ってくださり、「もしよかったらうちの事業所に働きにきませんか?」というお誘いを受けました。

引越しなどに関してもその相談支援員の方に何から何までお世話になって、今の家をみつけ、生活がある程度整って落ち着いたところで、お誘いいただいた障碍者のための就労支援施設でのB型就労を開始することになりました。

業務内容としては、マッサージの業務に加え、私の趣味である音楽の制作やネットラジオの配信と言ったスキルをフルに生かして、この就労支援施設の広報的なお仕事をするといったものでした。

仕事に加え自分の趣味も職場に役立つ何かになるかもしれないということで、辞職した場所よりももっともっと人に役立てるかもしれません。

そう思ったら毎日ワクワクの連続だったのですが、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月と月日が経過するとともに自分を取り巻く環境がどんどん変わっていきました。マッサージの仕事も少しずつ減っていき、与えられた業務がどんどん縮小されていきました。

そのストレスもあり、このままじゃいけないという気持ちもあって上司でもあり施設の理事長の息子でもある人と衝突してしまい、理事長との懇談をもたれたのですが「あなたは今まで好きなことをやってきただけでしょう?こちらから支持したことは何一つありませんし、施設内のスタッフのマッサージをすることでそのスタッフの仕事は止まる。つまりあなたはうちの利益になることは何一つしてないんですよ。やりたいことをやりたいなら勝手にやってください」というお叱りを受けました。

あとで聞いた話ですが、案外障碍者支援を歌っている就労支援施設の内部では、こういった理不尽な扱いを受けながらも働いている障害者がけっこういるという話です。ここまで言われてこの施設に留まる理由はないと思い、就労支援ではなく本格的に転職を考えて動き始めました。

 

あっさりとした転職活動から充実した生活へ

そして今年の4月、ハローワークの紹介で今働かせていただいている訪問マッサージの業務に就くことができました。4月末に紹介いただいたんですが、この職場のオーナーは本当にフットワークの軽い方で、ハローワークからの紹介を受けたというその日にすぐ動いて面接、その場で速採用という「大丈夫なの?」っていうぐらいスピーディーな流れで決まりました。

今はマッサージの資格をフルに生かして、実際にお客さんの家に訪れる形でのマッサージ業務を行っています。以前勤めていた場所と同じく高齢者が中心なので、貴重なお話をたくさん聴きながら対話をして、マッサージをします。

短い時間ではありますがそれが本当に楽しいです。

就職してまだ日が浅いですが、これから更に腕を磨いて、自分のためにも職場のためにもお客様のためにもよいサービスが提供できるよう努めていきたいと思っています。