契約社員とは、原則的には専門性の高いスキルを持った人が、専門の分野に合った会社と雇用契約を結びます。
以前は専門性に応じた金額の給与を保証されることが一般的でした。

しかし、長期に亘る正社員の採用抑制の結果、非正規雇用の労働者の人数が増え、仕事の内容は正社員とほぼ同じで給与水準が低い雇用契約を長期に渡って継続する雇用形態が多くなりました。

若い世代の雇用環境が不安定になる一方、60代以上の労働者が再雇用制度などを利用して引き続き労働市場に残留する傾向が強まっています。2013年に改正された労働契約法により、雇用契約更新が通算5年を経過する直前に契約を

打ち切られる人が相次ぎ、契約社員のブラックな労働環境に改めて注目が集まっていますが2013年当時の想定どおりに無期雇用化が進まなかった原因はどんなところにあるのでしょうか。
契約社員の待遇や置かれている立場について詳しく見ていきましょう。

 

給与は正社員と派遣社員の中間

契約社員の給与は、派遣社員と正社員の中間くらいに設定されることが多いです。
業種による給与水準の影響を受け、介護業界や保育士のように正社員も含めた全体の給与水準が低ければ、月収10万円弱というケースもあります。

同一労働同一賃金の実現という政府が掲げる方針の下、ブラックな労働環境の改善を求めて労働争議に発展するケースが見られますが、正社員と契約社員が同じ仕事をしていて、責任の範囲が同じであっても、実際に転勤する場所がないにもかかわらず、転勤の可能性などを盾に正社員と契約社員の待遇差を正当化する企業が多く見受けられます。

また、正社員と比較して昇給はほとんどなく、残業代や賞与が少ない傾向があります。
通勤手当や昼食の補助なども、全く支給されない、あるいは上限を設けて支給されるなどの制限が行われています。
一方、外資系企業や金融業界など、一部の給与水準の高い業界の契約社員は、年収700万円〜1000万円以上と高水準になる傾向がありますが、昨今の経済情勢からこのパターンに当てはまる契約社員は少数派です。

しかし、外資系企業の成果主義や金融業界のAI活用の加速によって、高収入だから安定しているとは言えません。他業種の契約社員と同様に、いつ雇用契約が終了するか分かりません。

 

契約社員の雇用は不安定

契約社員の多くは、半年〜1年毎に契約を更新します。法改正以前から、10年以上に渡って雇用契約を更新してきた契約社員も少なくありません。

インターネットによる通信販売の普及により、人手不足が深刻な物流業界などでは契約社員の無期雇用への転換が進む傾向があります。

また、流通・小売業界でも、パート社員などの雇用契約を、短時間正社員などといった雇用形態で雇用の無期化が進んでいます。

また、派遣社員だけでなく契約社員についても2013年に改正された労働契約法が適用され、通算5年を超えて契約を更新した場合、無期雇用に転換するよう求めることができるようになりましたが、5年を経過する直前に雇用契約を打ち切る「雇い止め」が社会問題化しています。

その結果、経験が豊富な契約社員が職場を追われ、後任の新人と現場を契約社員に任せきりにしてきた正社員だけが残され仕事が円滑に進まないという現象が起こっています。

特にスキルやノウハウの流失が顕著なのが学術機関で、専門性の高い研究に従事してきた職員が「雇い止め」によって次々に職場を去って行っています。

2013年の法改正当時、雇用環境の改善を期待する声が契約社員から上がりましたが、2013年当時、想定されていた60歳を過ぎた社員の労働市場からの大量退出は起こらず、逆に年金支給の年齢繰り下げに伴い、シニア世代の再雇用制度の拡大による人件費の負担の増加の為、製造業を中心に無期雇用化に伴うコストの捻出に慎重な企業の姿勢が「雇い止め」という結果に繋がり、ブラックな労働環境は結局変わらないと落胆する声が聞こえてきます。

クーリング期間について

クーリング期間とは、契約社員との雇用契約を通算5年を経過する前に一度終了し、6ヶ月後から再度雇用契約を締結する事が可能となります。
しかし、契約社員との雇用契約が終了した後、6ヶ月の間に他の会社に就職し、再契約に繋がらない可能性があります。

2013年の法改正の際に、期間限定社員などの有期雇用契約の労働者が多い製造業の経営者から、海外との価格競争力の維持という名目の要望を受けて設定されたルールですが、専門性の高い職種の契約社員にも適用されるケースが相次ぎ、現在では雇用の流動性が2013年当時よりも更に高まっていることや労働人口の減少が進んでいることから、高いスキルを持った人材の流出による大手製造業の大口受注失敗の一因となっています。

一方、特に中高年の契約社員は、雇用契約が終了した後、再就職先が見つからず、失業保険を受け取りながら再契約まで待機するなど、ブラックな労働環境による雇用の不安定化を招いています。

福利厚生も正社員には劣る

有給休暇、社会保険については、正社員と同等の会社が多い傾向があります。ただ、企業によっては保養所の利用や社員食堂の利用などで制限が設けられている場合があります。

厚生労働省が「働き方改革」の一環として同一労働同一賃金を目標に掲げていますが、待遇格差是正を求める労働争議が後をたちません。

正社員と同じ仕事をしていても、通勤手当が全額支給されなかったり、契約社員には住宅手当が支払われないなど、正社員と待遇に差がある企業が多いです。

一部に契約社員が非正規労働者の組合を求める労働争議を起こす事例が見受けられますが、正社員と契約社員の格差是正が叫ばれても、待遇に著しい差を設けて、改善しようとしない企業はブラックな労働環境と言えるでしょう。

まとめ

契約社員の雇用の安定化を目指して改正された労働契約法ですが、無期雇用によって人件費の増大を避けたい企業によって、通算5年の雇用契約が終了する直前に、多くの契約社員が「雇い止め」に直面し、企業側もスキルを持った人材の流出を避けられない情勢にあり、ブラックな労働環境に不安定な雇用形態が更に拍車をかけています。

更に、企業側が経費を抑制して確保した利益を内部留保に回す傾向が年々強まり、株主からの配当金の要求や、急激に経営環境が悪化した場合に備える為の資金が過去最高の金額を更新し続けています。

また、「働き方改革」の一環として高度プロフェッショナル制度の導入が先送りされた事で、制度のターゲットである1980年代に入社したバブル世代の管理職の報酬の抑制が進まず、年金の支給年齢の繰り下げや少子高齢化による若い世代の労働人口が減少しています。

これに伴い、人口の多いシニア世代が再雇用制度や派遣社員や契約社員として働く事で労働市場に残留し、企業の人件費の増大を招いており、シニア世代の本格的な労働市場からの退出の時期が見通せない状況になっている事によって、若い年代の非正規労雇用の割合が高止まりし、契約社員のブラックな労働環境が改善される見通しが立っていません。

契約社員の無期雇用化が進まないなか、シニア世代が労働市場から退出するのを待つしかないのでしょうか。

契約社員にとって、数少ないメリットの1つが、副業が可能であるという点です。副業が出来るメリットを活かし、本業と並行して収入を得る人が増えています。収入になりそうなスキルがあれば取り組んでみると良いでしょう。