世間では企業の収益性を向上させる為、労働人員削減による人手不足、度の過ぎたノルマにより長時間労働、サービス残業、休日出勤が慢性化するなど、
劣悪な労働環境を嫌い、離職する人が多くなっています。これらを称してブラック企業というワードが認知されています。

休日出勤のブラックか否かの見極め方、また違法性について下記では紹介していきます。

 

 

本来の休日出勤のあるべき姿とは

 

休日出勤とは、平日で終わらせることが出来る仕事量が人員調整やスケジュール調整をしても、締切までに終わらなかった場合に上司から依頼されるものです。

仕事をしていると毎日予定外のタスクが舞い込みます。電話応対、メール返信、臨時会議、資料作成、後輩の作業の確認、作業のやり直しなど社会人の皆さんは体験したことがあるのではないでしょうか?

仕事以外でもタバコ休憩や隣席の人とのおしゃべりが過ぎてしまったり、重要なプライベートの用件が入ったり、体調不良になったり、と仕事を遅らせる出来事はキリがありません。

例えば緊急のメールを返信するタスクに3分かかったとします。これを「3分だけ」と捉えるか「3分も」と捉えるかで進捗が左右されます。「3分だけ」と捉えると、全ての細切れの短時間で終わるタスクをこなした時に全体として多くの時間を仕事以外に使っている事に気が付きます。一つのメール対応が3分だとしても10通対応すれば30分かかっている事になります。

仕事にかかる時間の見積もりを立てる時に、こういった予定外のタスクが舞い込むことを考慮して余裕を持って立てる人もいるかもしれません。しかし、その余裕を超えてしまった場合に残業でもリカバリー出来ない仕事を休日に行います。

上司が仕事の調整を全力でしても締切に間に合わず、上司から依頼を受けて承諾し、休日に出勤した分の給料が支払われるか代休がある場合はブラックとは呼べないでしょう。

他にも、会社ごとに年間出勤時間が決まっており、会社カレンダーで休日でも出勤する日が定まっていることがあります。これも事前に社員全員に通達し総会などで承認されているためブラックではありません。

ブラックと呼ばれる会社の休日出勤とは

休日出勤ありきで締切が設定されている仕事量を任されるのであれば、それはブラックです。拒否権もなく休日出勤しなければ締切を守ることができません。

なぜ、本来休むはずの休日に、出勤する前提の仕事量になるのでしょうか。それは様々な理由があります。人員が足りないから、お客様の無理な要望を断れなかったから、営業部署と現場部署での仕事にかかる時間と量の見積もりがズレていたから、などです。

数ある理由の元凶はその会社の在り方です。日常的に報告、連絡、相談が出来ていない、気軽に報告、連絡、相談が出来る雰囲気でない、部署間のコミュニケーション不足など、会社全体で取り組まなければ改善しない問題を抱えていることが多いです。

会社のような縦社会では低い役職者から高い役職者へと、役職ごとに順々に報告が行われます。まるで伝言ゲームのようなこの報告、連絡、相談によって、現場の正しい状況が会社の中枢者に伝わらないこともあります。現場の人員が休日出勤していることさえ知らない場合もあるのです。

拒否出来ず、休日出勤分の給料が支払われない休日出勤はまさにブラックでしょう。

ではなぜ、そのような粗悪な労働環境であっても社員は辞職しないのでしょうか。自分の作業が遅くて締切に間に合わないから休日出勤させてほしい、と考える真面目な社員やそのように会社から教育された社員がいます。多忙な業務に日々目の前の仕事をこなす事に精一杯になり辞職を考えられなくなっている社員もいます。「ほかの会社はもっと厳しい」などと言った上司からの言葉で辞める決心がつかない社員もいます。

そうでない社員は早々に見切りをつけて辞めてしまうので、結果としてブラックと呼ばれる会社には上記のような過酷な労働環境でも辞めない社員だけが残ります。

違法性について

 

まず、サービス残業ですが、これは完全な違法です。
企業は必ず残業に対して相応の給与を支払わなければなりません。

次に、法定逸脱により違法になるのが、長時間労働と休日出勤です。
つまり、法定基準を守っていれば合法となります。
長時間労働については、一般的に月残業時間の上限が45時間と設定されており、これを超える場合には違法性があります。

では、休日出勤はどうでしょうか。
そもそも企業の休日はどの様に決まっているのでしょうか。
休日とは法定労働基準に則った上で、各企業が独自に設定する休みが休日となります。
ですので、週末が休みの企業もあれば、週の中日が休日の企業もあります。また、企業全体が休みでなくとも個人個人で休みをずらして設定する企業などもあります。
これらの休日は各企業の就業規則によって定められています。

つまり、休日出勤とは法定労働基準に則った上で、独自に決められた就業規則による休日に出勤・勤務することを言います。

 

 

法律上の休日出勤の決まり

 

冒頭でもお話ししましたように、休日出勤がある会社はブラックと思われる方も多いかと思いますが、
果たしてそうでしょうか。休日出勤してもその分の給料を支払ってもらえればどうでしょうか。

また、代休や振替休日を取得できればどうでしょうか。
法律では、企業が休日出勤をさせること自体は違法ではありません。
代休や振替休日であったり、休日手当が支給されれば何の問題もありません。

しかし、法定労働基準では「1週間に1度の休日、4週で4日の休日を設けること」と
なっていますので、仮に、休日出勤により週に1日以上の休日が無くなる場合には、休日手当の支給による休日出勤はさせられず、
代休・振替休日という形であれば可能になります。
逆に、これらの事が守られず休日が与えられなかったり、休日手当が支給されない場合には違法となります。
また、休日手当についても法定労働基準で明確に定められており、「延長した労働時間(残業)については2割5分、休日労働については3割5分」となっています。

つまり、休日手当は通常1日分の給与に対して1.35倍された額が支給されます。
これらが守られていない場合は違法になります。

 

休日出勤でも手当がない場合

 

休日出勤しても休日手当が出ない場合があります。

みなし残業

基本給に休日出勤手当が含まれている場合、俗にみなし残業と呼ばれるものです。基本給の中に残業代が含まれているので、別途支払われません。しかしながら、みなし残業にもどれだけの残業分をみなしているのかという決まりがありますので、それを超える残業分は請求することができます。

管理監督者

管理監督者は経営者側の立場になりますので、残業代は支払われません。
これを悪用した「名ばかり管理職」という問題があります。
管理職には会社から一定の権限や裁量が認められていますが、名ばかり管理職はこれらの権限や裁量が会社から認められておらず、管理職という立場の為に残業代は支払われないという問題があります。

振替休日の場合

上記の様に振替休日や代休を設定することで休日出勤が可能となりますが、振替休日と代休では意味が違います。この違いは「事前に決まったこと」か「事後に決まったこと」かです。
振替休日は事前に、当初休日予定だった日を出勤日として、違う日を休日に設定するということです。
一方で、代休は休日出勤をした事後に、代わりに休日を設定することです。
振替休日の場合は休日手当は支給されず、代休の場合は休日手当が支給されます。

 

休日出勤がブラックか否か見極める方法

外部から休日なのに仕事をしている人がいるオフィスを覗いてもブラックな出勤なのか、正しい手順を踏んだ出勤なのか判断することは難しいです。友人が「明日、休日出勤なんだ」と言っていても友人の会社がブラックかどうかは判断できません。それは休日出勤がある会社は全てブラックと断定できないからです。

近年は労働基準監督署が抜き打ちで会社に訪れ、労働環境の改善指導などが行われています。外部からブラックか否か見極めるにはこういった専門の組織に頼ることが重要です。会社内部の視察や社員からの聞き取り、労働時間記録などを確認することで、会社全体を俯瞰して労働基準法に違反している事があれば指摘します。

自分の勤めている会社を、休日出勤があるからブラックかどうか見極めるほうが簡単です。専門の組織を頼らなくてもある程度、社内規則と実状の比較や上司とのコミュニケーションから、会社全体できちんと社員ごとの仕事量を管理しているか、報告、連絡、相談しやすい雰囲気かの基準をもって判断できます。

自分の判断に自信が無い時は社外の第三者に相談することもできます。自分だけではなく社員ひとりひとりがきちんと報告、連絡、相談をしやすい会社の在り方であれば休日出勤があってもブラックではないでしょう。

 

まとめ

 

各企業には基本的に就業規則が決められており、労働時間や休日、賃金などの決まりがあります。
また、労働基準法に基づいた36協定という労使協定を結んでいる企業もあります。
就職の際には、尋ねてみたほうが良いかと思います。明確な回答が出来ない企業の場合、違法な場合があります。
勿論、このようなことをしていなくても法定規則を守っている企業は沢山あります。

また、この様な決まりがあっても言葉巧みな言い回しが使われ、実際に働いてみると、「思っていたことと違う」ということもあります。
例えば、「週休二日制」と「完全週休二日制」など知っていれば理解できますが、知らない人にとっては同じに見えてしまいます。

これは単に一例ですが、このような言い回しが落とし穴になる場合があります。
社会人の方や就活生の方は、労働基準法や人事募集要項の言葉を正確に理解することで、社会的にも、自分自身にとっても正しい判断をすることが出来ます。
違法性がある場合、最寄りの労働基準監督署へ相談をすると良いと思います。その際は何故違法性があると思うかの根拠となるものを持参することをお勧めします。