みなさんは、始業時間より早く出勤して掃除をしたり、当日の仕事の準備にメールチェックをしてから、タイムカードを打刻することはありませんか。また、制服に着替えて、朝の掃除にミーティングが終わって、やっとタイムカードを打刻しているのでしょうか。

そもそもタイムカードもなく、始業時間前に作業しているのにも関わらず、始業時間から定時までしか、給料を支給されていない方もいらっしゃいますよね。

今あげた例のように、労働時間に当たると認識してもらえず、なんとなく社員全員が、当たり前にしていることなので、疑問に思わずに作業している方は多いでしょう。

労働時間として含まれずしている行為は、実質サービス残業として行っています。そして、それを強いる会社は、ブラック企業です。

気付かないうちにサービス残業を行なっている可能性がある

サービス残業は、日常的によく耳にする言葉です。あまりにも耳にしすぎて、気に留めていない方も多いでしょう。ですが、サービス残業は、違法行為であると知っていますか。

サービス残業を、日常的に取り入れている会社は、ブラック企業だと断言できます。

サービス残業の定義を、ザックリとお伝えします。
簡単に言うと、残業代(時間外労働の給料)を支払わずに、仕事をさせることを、サービス残業と呼びます。まさに典型的な、ブラック企業の勤務体制です。

労働基準法では、「一日8時間労働にしてください。一週間に40時間以上の労働は超えないでください。」超えてしまう場合は、残業代を支払い、届け出も必要になると定められています。

ここでよく勘違いされているのが、午前中の早めの出社は、当てはまらないと思われている点です。

ズバリ、その認識は間違っています。
午前中も労働をすれば、労働時間の対象となり、賃金を支払う義務が会社に発生します。注意するべきことは、始業前の掃除や準備などが、会社からの指示(命令)かどうかです。

労働時間として当てはまらないよう、よく会社側がする対策があります。
例えば、始業前の清掃が、社内で当たり前である雰囲気を作り出したり、よく分からない独自の制度を作ったりするので、うやむやにされているパターンが多いのが現状です。

ブラック企業としては、できるだけ安く長時間労働をさせ、会社の収益を上げたいのが、本音でしょう。入社した社員たちが、従わないといけない雰囲気と環境を作ることで、思い通りに上手く従業員を働かせることができます。
そもそも、そういった行動が、業務に当たること自体、分からないトップもいます。

掃除や仕事の準備は労働時間に含まれる

始業前に30分早く出社し、社員全員で掃除をしたり、始業時間にきっちりスタートできるように、事前の準備を行うなどは、ハッキリ言って労働をしていますよね。

もちろん、朝に掃除をすれば、綺麗なデスクで仕事を始めることができる利点があります。ですが、業務に関係している、もしくは業務をスムーズに行うための作業をしていることは、本来は労働時間となります。

その他にも、意外と労働時間に含まれる行為は、たくさんあります。

みなさんの会社が、制服着用であれば、着用すること自体が業務に含まれるので、その時間さえも労働時間の対象です。なぜなら、制服を着用しないと、業務を開始できませんよね。
そういった会社の場合は、制服を着る前にタイムカードを打刻するのが、本来の勤務の流れとなりますが、実際のところ逆の流れが多いでしょう。

また、朝の朝礼や業務報告などのミーティング時間も、労働時間の対象です。

より細かく指摘すると、休憩時間中に突然仕事に対応する場合も、特に営業職の方は多いでしょう。この少しの時間すら、労働時間として扱われる必要があります。
緊急を要する場合でない限りは、「担当の〇〇が只今不在のため、戻り次第の折り返しをさせていただきます。」といった対応が適切でしょう。

また上司、先輩、他部署、クライアントほか、何かしらの指示を受けて行った準備や待機はいずれも労働時間となります。

ここは必須かどうかは要件ではなく、誰かの命令を受け、会社のために待機や準備をしていれば、それが業務ということになります。

以上のように、一定の待機時間や準備時間は業務時間の一部であるとみなされます。

形式的にはこれらの作業は勤務時間内に行って問題ありません。また、会社が始業時間前や就業時間後など時間外に行う場合は残業となります。

逆に言えば、必須であったり、また命令により行っている準備や待機を時間外に行わせているにも関わらず残業代を支払わないのは法令違反となります。法令違反の企業となれば、ブラック企業であると見られるのは自然なことでしょう。

一度ご自身の勤務体制を振り返ると、残業代が発生する可能性が、多い出来事はすぐに見つかるはずです。

ブラック企業の多くは、始業前に何かすることにこだわる反面、従業員へ給料として還元しないことは、本当に多いです。ブラック企業の社内環境で多いのが、「長い物には巻かれろ」といった体制でしょう。
「おかしい。時間外労働のはず。」と疑問に思うこと自体、社内ではタブーであり、まして従業員が主張することは、もっての他だと暗黙のルールがあります。

ですが、労基法の面では、サービス残業は違法とされていることを、決して忘れないでください。おかしいのはブラック企業であって、みなさんではありません。残業代が未払いの可能性は、大いにあります。

 

掃除についてはもう少し微妙な問題も、大抵は業務時間に含まれると考えるべき

掃除についてはもう少し不可分な世界にはなりますが、やはり一定程度は業務時間に含まれるべき性質の作業です。まず、掃除当番などが定められていて、実質的に必須の場合は、これは会社から命令を受けているのと同値なので確実に業務時間に当たります。

一方、掃除当番などが定められていなくとも、自主的に掃除をする場合もあるでしょう。これについても例え自主的にであろうとも「それが業務遂行上必要なレベル」の掃除であればやはり労働時間になります。必要なレベルの感性が人それぞれなので難しいところにはなります。

例えば、週に1回自分のデスク回りを数十分掃除する、これくらいしないとデスクを清潔に保てず、スムースに業務を遂行することに支障が出るでしょうから、業務遂行上必須であります。その場合、その掃除時間をとらなければ充分に業務が遂行できないということになりますので、その掃除時間は労働時間であるといえます。

このように、準備時間も掃除の時間も「それをやらなければ業務遂行に支障が出る」あるいは、「上司、先輩誰かしらから実質的に命令されている」場合は業務であるといえます。

現実的には職場を掃除する場合、余程潔癖症の人でない限り「明らかに、どうみても不必要なレベルの掃除を行っている」人はあまりいないと想定されます。大抵の人は、掃除をしないことで職場環境が悪くなり、業務に支障が出るから、掃除を行うでしょう。そうであるならば、これは業務遂行必要なこととなるので、やはり労働時間に含まれます

業務時間であるということは、これらは所定労働時間内で行って問題なく、もし時間外にやらせる場合は残業代支給が必須となります。形式的にはこれらを遵守できていない企業は法令違反であり、ブラック企業であると言われるリスクはあります。

また、近年は大企業中心に準備、掃除時間も労働時間ときっちり見なす企業が着々と増えているので、これらを労働時間外とする企業の旧態依然さより際立っていくことと考えられます。

まずは、労働した時間をタイムカードできっちりと管理しよう

ブラック企業は、みなさんが実際に働いた、勤務録を残すことを極力避けます。できるだけ、定時で済ませたいからです。如実に現れるのが、タイムカードの打刻です。

タイムカードの打刻は、イコールで実労働時間となります。
みなさんがブラック企業に対して、時間外労働に限界を感じた場合、どうしますか。

多くは、離職して再就職をする方向か、訴え出る方法かの、二択でしょう。

訴え出る場合、みなさんが毎日打刻している、タイムカードが重要になります。もしくは最近登場してきた、アプリでの出勤退勤管理のシステムです。最悪タイムカード自体がない場合は、ご自身で毎日、出勤時間と退勤時間(休憩時間も含め)を、記録していく必要があります。
欲を言えば、タイムカードがあっても、個人的に別で記録する方が安全です。

この記録が、みなさんの勤務時間を判断する材料となります。

タイムカードの打刻するタイミングを、コントロールしようとすること自体が、異常な状態です。サービス残業をブラック企業側から、強制することは、あってはならないことです。
毎朝の15分や30分ほどの朝礼や、掃除などの行為であっても変わりません。

みなさんがブラック企業へ立ち向かう方法は?

専門家へ相談することが近道でしょう。公的な機関や、労働問題を専門にしている弁護士に、直接相談することが大切です。

なぜすぐに訴え出ないかというと、第三者から確認して、残業代が未払いに当たるかどうかを、検証する必要があるからです。また、手続きの面からも、個人でするのはいろいろと難しいでしょう。

ブラック企業の中には、そういった訴えを、すでに経験済みの会社も少なからずあります。その場合、訴えに対しての対策は、万全に回避できるよう、みなさんの気づかない部分で、対策に講じています。

訴えたは良いものの、結局は請求が通らずに、泣き寝入りする道しか、ないこともあります。毎日時間外に、掃除や準備など行なっている事実があっても、裁判の時に通らない場合があります。そうならないためにも、まずは事前に相談し、行動を起こす方が得策でしょう。

相談へ向かう時には、タイムカードのコピーを持っていくようにしてください。
上記でお伝えした通り、基本はタイムカードにより勤務時間を判断します。もし難しいようならば、何かしら毎日勤務時間を記録していきましょう。
ブラック企業によっては、タイムカードに打刻した時間が、実際の時間と違うことも多いので、ぜひ正確な時間が、あとで証拠として確認できるようにしてください。

訴えに出る場合、みなさんが苦戦することは、「事実の証明」をすることです。
実際にブラック企業に勤務し、日々時間外の労働を強制させられた事実を、どう証明できるかが重要なポイントに繋がります。

できるだけ残せる証拠は、すべて記録してください。

 

本当にブラック企業と見なされるかどうかは程度問題になってくる

まず形式的には、必須であったり、命令されたことによる準備や掃除は労働時間に見なされる必要があり、破れば法令違反であると記載しました。ただし、一分でも労働時間への組み入れを行った企業が全て法令違反者として罰を受けているわけではないように、全ての企業が並列でブラック企業となるわけではありません。

ここは完全に程度問題であり、人々がどのくらいの準備掃除から、「労働時間に組み入れるべき」と不満を抱くかどうかに依存します。不満が一定たまる企業は本当にブラック企業ということになります。

どこまで許されるかはその企業の業種、待遇、その人の職層にもよってきますが、1時間かそれ以上の長時間を労働時間を含めていないのであればまずアウトでしょう。

30分程度は昔なら黙認されていましたが、近年は大企業が分刻みで労務管理をしっかり行うようになってきています。この動きが加速してくれば、この程度のサービス的な準備時間、掃除時間も問題視されるリスクはあります。

このあたりの感性は時代と共に変わってきてもいます。やはり必須な準備も掃除ももれなく労働時間として扱う企業が優良であることは言うまでもないことです。

おわりに

サービス残業として、本来は労働時間の対象になる、毎日掃除や事前の準備などをしていたか、お分りいただけたでしょうか。

なかなか、そういった違和感に対して意見することは、白い目で見られるので踏み切れません。ですが、間違いなく労働時間に適用されるべきことです。

もし訴え出ようと検討されている方は、ブラック企業から、命令(強制)されたかを証明する方法を、専門家にご相談ください。

試しに一度、毎日の時間外労働を年間いくらになるか、計算してみるのも、踏み切る手助けになるでしょう。トータルで考えると、驚く数字になること間違いなしです。