額面での初任給の金額を確認

給料の手取りとは「額面金額」から一般的な企業であれば厚生年金や社会保険料、そして税金が控除された「実際に口座に入ってくる金額」のことを指します。厳密にはここから独身寮の使用料、労働組合費、財形貯蓄その他も天引きされ、より少ない金額が口座に入ってくる企業もありますが、(労働組合費は微妙ですが)これらは「自分で使うものに充てているお金」ですので、簡単化のため今回はあくまで手取り=社会保険料、厚生年金、税金が控除された後の金額として考えていきます。

さて、いずれにしてもまず手取りの金額に最も大きな影響を及ぼすのは「額面」ですから、ここから考えていきましょう。新卒初任給の額面は時代とともに変化しておりますが、近年はアベノミクスの影響もあり「賃上げ」傾向が進行しておりますので、どちらかというと緩やかながら初任給は上昇している傾向にあります。

そのような中、直近平成29年度時点では、大学学部卒の新卒初任給は「20万円程度」です。高卒の場合は「16万円程度」となっております。一方、近年は専門的な知識を持つ人に高い初任給を支払う企業も出始めており、例えば大学卒の場合は、外資系の金融業であれば残業代こみながら50万円程度の初任給を支給する企業も少なくありません。

というわけで以前より初任給は「平均が上がりながら、上下差(特に上方格差)が広がりつつある」という傾向になりますが、一般的な高卒で16-17万円、一般的な大学生で20万円程度、大企業では20万円台前半から半ば、専門的な職の方で30~50万円(但し残業代こみの場合も)というのを一つのイメージとして持ちましょう。

 

年収の額面としては残業代や賞与を考えておく必要がある

尚、以下では初年度の年収の手取りについても説明していくところですが、まず、月次額面のこれ以外の上振れ要因ですが、最もポピュラーなのは「残業代」です。大体新入社員の初月にはつかないことが一般的ですが、1年目でも入社2-3か月くらいからは残業が入り始めるようになることが多いイメージです。残業代は、基本給を時間単価換算して1.25倍した金額となるのが普通で、仮に20時間残業したとすると、16万円の基本給で、2万5000程度、20万なら3万円、25万円なら4万円程度、30万円なら4万5000円程度がそれぞれ上乗せされます。これが大体2-3か月目くらいから支給されるようになり始めるイメージです。もちろん残業の多い仕事の場合はこれより多くなる場合もあります。

その他で収入として大きいのは賞与になりますが、夏は入りたてなのでなしか10~20万円程度の祝い金支給、冬は1-1.5か月程度とややダウンサイズして支給という例が多いようです。1か月とすると、それぞれの基本給がそのまま冬に支給されることになります。

仮に3か月目から20時間残業あり、冬だけ1か月分ボーナス支給とすると、入社初年度の年収は高卒のモデル月収16万円で230万円程度、大卒のモデル月収20万円なら288万円程度、やや高く25万円なら360万円程度、30万円なら430万円程度となります。これらの金額を参考に、ここからは手取り月収・年収について考えてみます。

 

月給や賞与から控除されるものを整理

さて前章でまずは額面として加算されていくものを確認した所で、今度は手取りを計算するうえで「引き算」となる控除されるものについて、考えていきます。冒頭で説明した通り、個社によって事情がことなる寮使用料や財形・組合費などは捨象し、ここでは基本的な「税金」や各種「保険料」などを中心に考えていくことにします。

まず、保険料として控除されるのは「健康保険料」「厚生年金保険料」「雇用保険用」の三つが基本になります。それぞれ「病院等医療サービスを受ける時に保険適用になり費用が下がる」「老後に年金を受けとれる」「失業した際に失業保険を受け取れる」ために支払っているものです。これらの負担率ですが、実は都道府県に料率が若干異なっていてい一概に説明できないのですが、以下では代表例として「東京都」を例とします。

まず、健康保険料は総支給額の「9.9%」と定められていて、これを企業と折半するのが一般的です。つまり、控除される金額としては「総支給額の4.95%」となります。次に厚生年金保険料は同じく総支給額の「18.3%」を同じく企業と折半することになりますので、「9.15%」が控除されることになります。いずれも「基本給」ではなく「総支給額」から控除されます。また、雇用保険料率は一律総支給額の0.4%となります。

このほかに、本来給料からは「所得税」「住民税」が源泉徴収されますが、「住民税」は前年度の年収を基に計算されますので、新卒の場合は1年目は「ゼロ」となることがほとんどです。「所得税」源泉徴収額が上記の保険料控除後、かつ交通費や扶養控除を考慮された金額を基に計算されます。従って、社員の状況によって控除額がかなり変わってくるのですが、大体ここまで控除された金額が14万円程度で7000円程度、20万円前後で2万円程度、25万円なら3万5000円程度、30万円なら5万円程度となります。かなり複雑になってきましたので、冒頭の「高卒」「大卒」「大企業」「専門職で高めの初任給」の場合に分けて次章でモデル例として計算します。

 

各新卒新入社員の初月の手取り額イメージ、年収手取り額イメージ

さて、ここまでの情報を基に、各レイヤーごとに初年度の手取り額モデルを計算してみます。

まず「高卒」の場合、基本給「16万円」として考えると、初月は「16万円」から保険料関連の控除が、「健康保険料」が7920円、「厚生年金保険料」が14640円、「雇用保険料」が640円となります。ここまでで約13万7千円となります。この金額ですと所得税の控除は6~7千円となりますので、手取り額は13万円程度となります。ちなみに、残業代が20時間つき始めると同様の要領で計算すると、手取りは15万円程度となります。3か月目から残業代が付き始めるとして、ここに賞与が1か月分出るとすると、手取り額は189万円程度となります。

次に「大卒」の場合、基本給「20万円」とすると、健康保険料が9900円、厚生年金保険料が18300円、雇用保険料が800円となりここまでで17万円程度となります。この規模の金額の所得税源泉徴収額は11000~12000円程度なので、手取り額は16万円程度となります。ここに残業代が20時間分つき始めると手取り額は17万7000円程度となります。上記同様に3か月目から残業あり、賞与1か月分とすると初年度の年収手取りは225万円程度となります。

ここからも同様に計算していきますと、「大企業」の場合は、初任給25万円として健康保険料が12375円、厚生年金保険料が22875円、雇用保険料が1000円、このレベルでスト所得税の源泉徴収額が25000円程度となりますので、すべて控除後の手取り額は19万円程度となります。同様に20時間残業代が付くと手取りは21万円程度となり、年収は267万円程度となります。「専門職」で初任給30万円の場合は残業なしの手取りが21~22万円程度、残業代20時間分込みの手取りが24万円程度となります。ここに賞与を基本給一か月分と置くと、304万円程度が手取りの年収となります。

このように、手取りの月収・年収は額面から様々控除され、想定より少なくなりますので注意が必要です。翌年度以降はこれに住民税の控除が始まりますので、より一層手取りと額面の差が拡大することになります。