大手企業に比べると中小企業の体制はブラックと言われても仕方ないような部分が多々あります。それは大きな声では言えないがうちの会社はブラックだ、もしくはブラックなんじゃないかと疑問を持つようなことがあるけれど、それを言ったところでブラック企業の体制は簡単に改善はされないうえに危なくすれば自分が職を失うことにもなりかねない。

そんな足元を見るような中小企業の雇用者に対する体制は現代社会でもなかなか改善されて行かないのが現状のような気がします。ブラックといわれる中小企業の実態は働いたものや体験した人でしか分からない巧妙なシステムの上に成り立っているのです。

 

大企業に比べて従業員数が少ないことが原因

例えば育児休業や産前産後に休みが満足に取れないという状況を考えます。

そうした際に、中小企業は交代要員が確保できないから休業を取らせてあげられないという事情が考えられます。

ただでさえ人数が少ないので、休業を取る社員の業務をみんなで分け合うという事が難しくなります。

また、各社員がマニュアルなしでそれぞれの業務を遂行している場合が多く、引き継ぎにも大変な労力が必要となります。当然テンポラリーな交代要員を用意するなんでことは相当ハードルが上がってしまいます。

産前産後休業や育児休業を取らせられないので退職勧奨という形をとる事がどうしても多くなります。けれども、退職すら許してもらえず、胎児を抱えたまま通常の業務を行った結果流産や早産、最悪の場合は死産になってしまうケースもあったそうです。

退職勧奨であればある程度社員の側にも「そういうものだ」という了解があり、また労働基準監督署やハローワークも積極的に肯定するわけではないにしても取り締まろうという事もありません。

穏便に済んでしまう事が多いと思います。けれども辞めるに辞められず、結果として胎児にとっての最悪なケースを迎えてしまう場合、職場に「滅私奉公当たり前」「子どもの命より仕事が優先するのは当たり前」という空気が流れていると思われます。

万一そういった職場かな?と思った場合は早めの退職が良いです。

 

社会からの監視の目が少ないことがブラックにつながる

世界的な企業であれば、労働法規を順守したほうが短期的に経費が増えたとしても万が一の際の訴訟費用や社会的制裁に比較した場合の賠償や売り上げ減少に比較して圧倒的に少額で済むため、各職場に対して労働法規順守の徹底を求めます。

また、欧州諸国のように日本よりもはるかに進んだ労働者保護の法律を備えた地域を市場として抱えているため、余計に労働法を順守する必要があります。

一方で中小企業はそういった監視の目が少なくなります。マスコミで取り上げられることも少なく、また地域でも目立つことが少ないので労働基準監督官からの監視の目も少なくなります。

例えば、あまりに退社が多く、また退社した労働者からのクレームがハローワークに多く寄せられる企業があります。

そうした企業は年がら年中ハローワークに求人を出すこととなります。ハローワークは公的機関であり、また、無料で求人を出すことができる唯一の場所であることもあって、どのような企業であっても求人を断ることができません。

依頼されたら必ず求人を公開しなければなりません。

その求人が大企業であれば求職者も「ブラックだ」とわかりますから応募は避けます。

けれども中小企業であれば求職者もその企業がブラックだとわかりません。

気の利いたハローワークの担当者は「大きな声では言えないけど、この企業は年がら年中求人を出していて退職者がいっぱい出ている企業だよ。ブラックの可能性が高いよ。」と教えてくれたりします。

でも、それは担当者次第。ハローワークの公平性を重視する担当者やそういった気遣いをしない担当者であれば当然ブラック情報は教えてもらえず、そのままストレートにブラック企業に投入されてしまいます。

また、例えば新聞に載るような労災事故を引き起こしてしまった企業があるとします。

その原因は劣悪な労働環境だったとします。大企業であれば、「そういえば平成元年にも似たような事件があったよな。この企業は。」といったことを思い浮かべますよね。

けれども、それが中小企業であれば半年もあれば企業名なんて忘れてしまいます。そういった意味でもブラックであることから受ける社会的制裁は最低限に抑えられてしまいます。

 

中小企業は長時間労働が当たり前

中小企業は大手企業に比べると人員の数が少なく仕事量が多いというのがほとんどです。大手企業のような体力もノウハウもないため中小企業は外部からの仕事を請け負うことから価格競争などで削らなければならない部分が人件費のところにきているのではないかと思います。

よって、雇用者は長い時間仕事をし、残業代として支払われるのではなく最初の雇用時に「〇〇時間分の残業代を含む」という名目で契約が交わされています。それは会社によっても異なりますが多いところでは40~50時間の残業代が含まれているのが現状です。

その幅が大きいことから残業が多少、ではなく当たり前のように行われています。朝早くから働き、大手企業が帰宅する時間を大幅に上回り終電ギリギリにようやく帰れるという社員の方も多いと思います。けれどそれを不服に思うのであればどうぞおやめになってください、というのがブラック企業の本当の姿で良さげな求人内容を転職サイトに記載すれば代わりはいくらでもやってくるのだからというスタンスなのです。

固定給プラスαの部分が曖昧

ブラック企業の中小企業の固定給は非常に低いです。けれど最初の求人や募集要項に「インセンティブ」という名前を設けてそのインセンティブ代を曖昧にしています。

インセンティブというのはどれだけ頑張ったかによる歩合制の報酬なので査定をするのが会社のため明確な基準がないのです。ある程度基準をつけて分かりやすくしている会社はどこも大手企業かホワイト企業です。実際ブラック企業と言われる中小企業はこのインセンティブの部分をグレーにすることで人件費を安く上げようとしています。

実際、固定給とわずかなインセンティブで働くことによってもらえる給料を時給に換算してみるとアルバイト以下になっていることもあります。それでもこの会社に居続けなければならないだろうと思わせるブラック企業の思惑は「ここを辞めて正社員でなくなれば再就職するのは大変だろう」「正社員でいられるから会社が保険などを負担してくれているんだぞ」というわずかなメリットをちらつかせ文句が言えないような雰囲気を出してきます。

会社にものすごく貢献するような社員に対しては他からの引き抜きを防ぐためにインセンティブをしっかり出していきます。その幅が大きいほどブラック企業と言えるでしょう。必要のない残業代は出さない、必要のないインセンティブは出さない。それを当然のことのように行っている長時間労働低賃金のブラック企業はあります。

正社員以外の雇用をうまく法律からかいくぐる

ブラック企業で人件費の削減を行うのに正社員以外のアルバイトへの対応が疑われることも多々あります。大手企業やホワイト企業は雇用しているすべての人に対して労働の補償を行っていますがブラック企業でも特に1年を通して忙しい時期とそうでない時期だけでなくその日その日で忙しい人そうでない日の従業員数を当日に調整し減らしたり増やしたりすることを平気で行います。

例えば今日はたいして忙しくない日だなというのが分かった場合遅番と呼ばれるあとからシフトに入っているアルバイトに連絡をして「今日はこなくていいよ」と当日に切り捨てます。もちろん給料保証もありません。

本当にそんなことがあり得るのかと思うかもしれませんが従業員の生活のことなんてどうでもいいというような雇用の仕方をしているのがブラック企業の分かりやすい雇用形態です。

逆に忙しい時期になったり人手が足りないときにはここぞとばかりに召集をかけるがその時に貢献できなかった人は後日この当日リストラの対象となります。ブラック企業で働く正社員以外の人もまた今後切られてはならないと足元を見られてブラック企業に対して従順に働いてしまう悲しい現実があります。

ブラック企業はセクハラやパワハラが日常茶飯事

ブラック企業といわれる中小企業の実態でセクハラやパワハラが日常的に行われているのは珍しい話ではありません。ブラック企業は長時間労働や過酷な仕事内容の中で誰もがストレスを多く抱えています。そのため上層部の人間であるほどストレスを溜めやすく常日頃から吐き出し口を探している状態です。

そこへ入社してくる新入社員や自分の指導管理下となった部下社員がかっこうの餌食となるのです。今はセクハラやパワハラが法律で裁かれる時代ですがそれでも内部告発をするということはそれなりのリスクを背負って社員は行うわけですからブラック企業はそのリスクをおかしてまでも訴える必要はないだろうというくらいのギリギリのセクハラやパワハラで法をかいくぐりストレスを吐き出しているのです。

ブラック企業は基本的に上層部と管理職の関係が密なところが多く、それ以下の社員が訴えを起こしたところで大きな騒ぎにならないように抑える力を持っています。

いわばヤクザのような上下関係が確立した会社なのです。よってセクハラやパワハラを訴えたところで一社員には勝ち目もないどころか職を失うだけのデメリットだらけと思わされてブラック企業に勤めている社員は我慢するしか生き残る道がないのです。

またそのような行為の中でのメンタルダウンした社員に対しての対応も非常に悪く「ただ自己管理ができてないない」「これくらいのことで」と余計に罵倒を浴びせブラック企業だ!と声を上げることすらできないくらいに追い込んでいくのがブラック企業特有のシステムなのです。

まとめ

 

ブラック企業はこのように法律をうまくかいくぐり世間にはブラック企業だと分かりづらくする形をうまく作っています。結局、ブラック企業だと把握できるのはブラック企業で働いている従業員が「これはおかしい」と声を上げることでしか発覚できないからなのです。

そしてその根底である“立ち上がる精神”をブラック企業は立ち上がる前にメンタルから潰しにかかるため実際にブラック企業なのだと認識されるようなことが少ないのです。

なのでブラック企業である中小企業はそれをいいことにずっとブラック企業であり続けているのです。ブラック企業は従業員の1番痛いところをついてきます。従業員が1番困ることを知っていて、声を上げないことをいいことにどんどん成長していくのです。

大手企業は声を上げられたら困るとかブラック企業にならないためにはどうすればいいのかなどと菅げる前にすでにきちんとした会社の仕組みが初めから成り立っています。そのためブラック企業としてのし上がろうとしている中小企業はほぼ初めから終わりまでずっとブラック企業なのです。そしてその会社がそういう会社であることは実際に就業した人や体験した人でしか分かることができないためその終わりのない悪夢のスパイラルは永遠に続いていくのです。