昨今、ブラック企業は明確な社会悪となりました。

人材を使い潰し、余暇を奪い、ろくな賃金を渡さない。
社会における資源を必要以上に食いつぶすその姿勢は、もはや完全なる経済の敵として認識されつつあります。

では、ブラック企業と定義されてしまった場合。
定義された側は、完全に駆逐されなければいけないのでしょうか。

決してそんなことはありません。
改心という言葉があるように、やり方を変え、態度を改めれば、必ずホワイト企業へと至れるのです。

今回は中小企業においてのホワイト化をご紹介していこうと思います。

ブラック企業の定義とは

ブラック企業という言い回しに明確な定義はありません。
労働者にとって都合の悪い企業をブラックと称しているだけに過ぎないからです。
ではどのようなものが具体的な社会悪なのでしょうか。
今回の本文におけるブラック企業がどのようなものか、実例を挙げて定義しておきましょう。

勤務時間が形骸化し、身体に負担が掛かる

『朝7時に1発目の顧客に訪問し、それから出社、8:30には朝礼』
『夜は20時ぐらいまで顧客訪問を行い、場合によってはそこから深夜まで雑務が入ることも』
『でも契約上は9:00~19:00なんだ……おかしいよね』

馴染みの無い方には妄想に思えるかもしれません。
しかし実際にこういう企業が存在しました。

ブラック企業は、社員を毛の一本から爪の先まで使おうとします。
そのため、社員を、勤務時間外だろうが何だろうがお構いなしに動かそうとします。

ここまで極端でなくとも、
たとえば、朝礼の時間が、勤務時間に含まれない。
たとえば、1時間早く出社させ掃除をするのが当たり前になってる、
たとえば、休日や休憩時間が日常的に潰されて補填もない……。

“この程度”なら、覚えのある方も多いでしょう。
“この程度”なら、問題があると感ずる人も少ないでしょう。

しかしこれはただの時間外労働です。
社員の貴重な人生を対価もなしに掠め取るブラックな行為です。

暴言・暴力が飛び、心が休まらない

これはごく単純で分かりやすい話です。
暴言・暴力が飛ぶような会社はブラックです。

目標を達成できなかった営業マンが丸刈りにされるとか、
気に入らないことがあると名指しで呼びつけて怒鳴るだとか、
物を投げつけられたり、平手打ちをされるだとか……。

もちろん、命の危険がある職場で迂闊なことをした場合は、周囲の安全が掛かっていますから考慮する余地はあるでしょう。

しかし、そういった差し迫った合理性がない場合、
それは単なる傷害事件です。
直接的な暴力を振るわなくとも、大声で怒鳴り、相手に恐怖を与えるような真似は、まともな会社であればまかり通りません。

道徳・法律を配慮しない

先に上げた二つにも関連しますが、結局はここに行きつきます。

有休を使わせない・存在しないと言い張る。
社保や雇用保険を、必要であるのに加入させない。
残業代を支払わなかったり、業務を行うの必要な安全配慮を怠る……。

こういった行為を行う会社は間違いなくブラックです。

もちろん、商売はきれいごとでは成り立ちません。
儲けるためには法律の裏をかく必要があります。
道徳も、『今現在はそれは好ましい』とされているだけであり、時代が変われば移りゆくものです。

しかし、仲間……つまり社員を大事にしないのは、ただの外道です。

共犯者ですらないのです。
ただ単に汚い行為を押し付けただけの奴隷として扱っているのです。

結局のところ、社員に対して道徳・法律を配慮しないのは、最も良くない害悪になります。

【身体に負担が掛かる】
【心が休まらない】
【道徳・法律を配慮しない】

これらに当たる企業は、ブラックと言って差し支えないでしょう。

なぜブラック企業がいけないのか

結局のところ、世の中の善悪は、利害関係によって成り立っています。
労働者には労働者の正義があるように、
経営者には経営者にしか分からない思想があります。
ブラックだろうがホワイトだろうが、本来は関係の無いことではあります。

しかし、現代社会において、ブラック企業はやはり悪とせざるを得ない事情もあります。

ブラック企業は人間を酷使します。
まず時間を奪い、体力と成長の機会を奪います。
次に気力を奪い、余暇に消費や創作をする心の豊かさを奪います。
最後に文化を奪います。家と職場を往復するだけの(場合によってはもはや会社に寝泊まりするレベルの)いわゆる”社畜”にしてしまいます。

そうなる前に脱出する人もいるでしょう。
逆に環境に適応して、のし上がる人もいるでしょう。
しかし大半は人間性を削がれておしまいです。
自分が何を好きだったかもわからなくなり、最悪の場合、廃人になったり首を吊ったりするはめになります。

現在、一人の人間をきちんと育てた場合、3000万円ほどかかるとされています。
3000万円もする立派なひとりの成人が、その環境に適応できなかったばかりに、大事な人生を失ったり、人間性が崩壊してしまったりするのです。
これがブラック企業を社会悪と評する原因です。
社会におけるコスト・パフォーマンスが、とてつもなく悪いのです。

どうしたらホワイト企業に成れるのか

ブラックとホワイトは、完全な鑑写しではありません。
ただブラックな要素を消しただけではホワイト企業と評されることはありません。
ホワイト企業と呼ばれるためには複数の要素があります。
この項では、ホワイト化に至るまでの一例を、ご紹介いたします。

第一段階:時間に厳しくする

勤務時間が9:00~19:00であるのなら、朝礼や掃除は9時から行いましょう。
そして19時をめどに皆が上がれるように業務を調整しましょう。
もちろん、それを実現するためには、遅刻や残業も可能な限り減らすよう、社員に徹底させなければいけません。

だらしない社員が必要とされないのと同じように、
だらしない企業も必要とされません。

もちろん、繁忙期など、止むを得ない事情で勤務時間が伸びるのは構いません。
しかし、残業代はきちんと払わねばなりません。
そして残業と言えどもだらだらと残ることなく、ある程度の目途を付け、スケジュール管理をきちんと行いましょう。

これは社員の生活を守るためでもあります。
出来るだけ拘束時間をコンパクトに、かつ、予想が付きやすいようにしてあげます。
これが出来ないと、社員は自己管理にたどり着けず、健康の問題が出やすくなってしまいます。

第二段階:お金か時間のどちらかを社員に提供する

賃金が安くても休みが多く拘束時間が短い契約。
拘束時間はあるけれどその分賃金の多い契約。

正社員でもパートでも、この2択があるのが重要です。
賃金が安くても、自由時間が多ければ、副業や家事、勉強や余暇に費やせます。
自由が少なとも、同世代・同業種のなかで突出して手取りが多ければ、尊厳を保ちリッチな生活を送れます。

逆に言うと両方とも無いのは良くありません。
そのような職場だと、定着率が一気に下がり、いつまでたっても第三段階に移行できません。
社員の快適度を上げ、離職率を下げましょう。

離職率の低下こそが第二段階の本意となります。

第三段階:社員に対して法律を遵守する

これは当たり前のことですが、小規模な会社になればなるほど、難しいものでもあります。
人数が少ないと手が回らなくなり、結果的に社員の心や権利を踏みにじってしまうことがあります。
知識や手続きなども多く、必要であるにもかかわらず完璧に行うには難しい内容になっております。

だから、これは第三段階です。

第一段階で社員のコンディションを調整し、
第二段階で全体の練度を上げてゆく。
そうして満足度を上げてから、法令遵守の姿勢を明確にするのです。

法律は守らねばいけないものですが、違法であるからと言って、即ブラックとはなりません。
社員が納得していないからブラックになるのです。
社員が満足をしていれば如何に反社会的であってもそれはブラック企業ではないのです。

だからこその第一、第二段階です。
ホワイトになれずとも、ブラックを抜け出す必要があります。

第三段階は明確なホワイトへと至る最終段階です。
従業員を信頼し、そして雇用主として信頼されているのならば、
完全なホワイト企業になる日もそう遠くはないはずです。

おわりに

会社というものは、経営陣だけで出来ているわけでも、労働者だけによって成り立っているわけでもありません。
上下が力を合わせたとき、初めて最高の力を発揮できます。

もし、会社がブラックであるのなら、
まずは黒いところを直視しましょう。
すぐにホワイトになれずとも、ひとつひとつ、しっかりと解消して行きましょう。

ビジネスの基本はwin-winです。
互いが互いを尊重できる社会になるためには、みんなの努力が必要不可欠であるのです。